腕時計メンテナンスの修理工具/キズミ(ルーペ)

腕時計メンテナンスの修理工具/キズミについて解説です。時計屋の親父が目に付けているルーペの事を”キズミ”と呼びます。
何故キズミと呼ぶのか?
それは昔むかしの話です。とあるアメリカの時計会社に真面目で頭の固い時計職人が居ました。技術一筋に生きる姿勢は女性を近づける雰囲気がありません。ところが何を間違ったか、その男に惚れてしまった女性が居たのです。女性が”品”を作っても男は鈍感で気が付いてくれません。ある日、男がルーペを付けて仕事をしているところへ女性は後ろから肩を叩きます。女性はこのルーペを付けると1cm以内に近づかないと焦点が合わない事を知っていたのでした。そしてキズミを付けたまま振り向いた男に女性は言います。「そのルーペで私をよく見て」と・・・。男はまだ気が付きません言われた通りにルーペで女性を見ようと近づきますが、当然唇が触れる距離にならないとピントがあいません。唇が触れてから男は”Kiss Me”のサインであった事に気づきます。Kiss Me・・・から「キズミ」と呼ばれる様になりました。

何ぁ〜んて!ロマンティックな話が時計工具にある訳がありませんね、私の作り話です(;^_^A。
おそらくは”傷見”から来た言葉だと思いますm(..)m
これで”キズミ”の呼び方を忘れる人は無いでしょうOo。。(_ _))
何!”キスミ”って呼ぶようになったって!(☆。☆)

冗談はさておき、こちら側を瞼に挟んで使います。何故目に付けるのかですが普通のルーペでは片手が塞がります。それでは片手に腕時計、片手にピンセットで作業が出来ません。

では、この様な固定出来るスタンド式のルーペなら両手が空くのではと。しかしそれではレンズを挟んで顔の位置も腕時計の位置もどちらか動けばピントが合いません。よって目に付ける訳です。電池交換でもネジを外さないタイプなら、こちらの方が便利かもしれませんね。

これが肉眼で見る腕時計の大きさですが、これをキズミで見ると。

このくらいの感覚になります。

腕時計のネジを外す場合でも肉眼ではこのくらいですが。

キズミで見るとドライバーの先がネジからずれている事まで見えます。

またネジを絞める場合に、この様にゆがんでいても。

正面から見ればまっすぐに見えます。しかしキズミで見ればネジの頭が遠近感で傾いているのが分かるから便利な訳です。

キズミでもこういった形状の物もあります。これは何かといえば 。
このアームの先端にクリップが付いています。よってこの部分で眉毛の辺り。皮膚を摘んで眼球の前にぶら下げて使用します。かなり痛いですが我慢しましょう!。嘘ですよ。(;^_^A

この部分でメガネのフレームを挟みます。

するとこうなりますから、メガネを掛けた方でも楽々。またキズミを瞼に挟むことが出来ない方にとっても便利かもしれませんね。

それに、こうやって跳ね上げる事も出来ます。

問題はこの様な”天地の狭いフレーム”では、はみ出してしまいますね(;^_^A
度数は「3倍〜8倍」までくらありますが、慣れない人は4倍で充分です。5倍以上になると見える範囲もピントが合う距離も短くなって使いづらくなります。
もうひとつキズミを目に付ける事が出来ない方には。

こういったキズミもあります。今はもう売っていないかも?

これなら頭からかぶるように付けますから簡単。

針金で縛ってあるのみの、構造も簡単。器用な方なら自分でも作ることが出来そうですね。
ちなみにこのキズミ”目で挟む物”と思っている方が多いです。間違いではないですが、力を入れて落ちないようにする物ではありません。職人さんなどはキズミを付けたまま何時間も作業する訳ですから、それでは疲れます。目安として良くこれを付けて力が入っていると片目しか開けられません。我々はキズミを付けても両目が開いています。キズミ側の目で腕時計内部を、片方の目で机の上の部品を見ます。


この2つのキズミは同じ物です。左はこのページの一番上の画像ですが、このキズミ”ベルジョン”と言って舶来です。つまり外人さんの彫りの深い人相で使うこと限定。つまり日本人であって結構、小顔な私としては大き過ぎます。よって右の写真の様に削って直径を自分用に調整しました。
下記写真はまだ荒削りの段階ですが、こうやって直径3.5cmにしました。こういった工具に「S・M・L」って無いのかな?
結果キズミは”目で掴むのでは無く、はめ込む感じ”ですか。

余談ですが、このキズミとピンセットを使い慣れると”トゲが刺さった時”は便利ですよ。毛抜きでトゲを抜くなんて馬鹿らしくてやってられません。
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